なんて冷たい手〜Che gelida manina!〜 ロドルフォ

なんて冷たい小さな手
私に暖めさせて下さい。
探してなんになるんですか?
こんな暗闇では見つかりっこありません。
でも幸いなことに
今晩は月夜で
ここに、私たちのそばに月がいるのです。
待って下さい、お嬢さん、
私が誰で、何をして、どう生活しているか、
ひと言で説明する間だけ。
よろしいでしょうか?

私は誰でしょう?私は詩人です。
何をしているかって?書いているんです。
どう生活しているのかって?生きているんです。
私の楽しい貧乏の中で、愛と詩と歌を、王侯のように
惜しみなく費やしていきます。
夢と空想と空に描くお城のおかげで
私は百万長者の魂を持っているのです。
ときどき私の宝石箱から
二人の泥棒が宝石を全部盗んでしまうのです。
美しい目という泥棒が。
たった今も、あなたと一緒に入ってきて
私のいつもの夢
私の美しい夢は
即座に消え失せてしまいました。
しかし盗まれたことは、少しも悲しくありません。
なぜかって、なぜかっていえば
そこは、優しい希望の住処になったからです!
さあこれで私のことがおわかりになったのだから
あなたが話す番です。話して下さい。
あなたは誰ですか?よかったら話していただけませんか?

参考:ビクター株式会社 トスカニーニ/プッチーニ:歌劇「ボエーム」全曲 対訳リブレットより〜

私の名はミミ〜Mi chiamano Mimi〜 ミミ

はい。
みなは私をミミと呼びます。
けれども私の名前はルチアなのです。
私のお話は簡単ですわ。
私は家や外で
麻や絹に刺繍をしています。
心おだやかでしあわせで、
百合やばらを作るのが慰めになっているのです。
私は優しい魔力を持っていて
愛や青春について話してくれるもの、
夢や空想について話してくれる、
つまり詩という名を持っているもの、
それが好きなんですわ。
おわかりになって?


みなは私をミミと呼びます、
なぜだか知りませんけど。
私はたった一人で
自分の食事の用意をします。
いつもミサに行くというわけではありませんが、
神様にはよくお祈りをしますわ。
私は一人で、一人ぼっちで
あちらの白い小さなお部屋に暮らしています。
屋根の上と空をながめながら。
でも雪がとけるときがくると
最初の太陽が私のものなんです。
四月の最初の接吻が私のものなんです!
最初の太陽が私のものなんです。
鉢の中では、薔薇のつぼみが花開き、
その花びらの一枚一枚のかおりを、吸い込むの!
花のかおりは、なんて素敵なんでしょう。
でも私の作る花は、ああ!
私の作る花は、
ああ!かおりを持たないのよ。
私について、他にお話しすることはないと思いますわ。
こんな変な時間に
ご迷惑をかけにくるお隣なんです。

参考:ビクター株式会社 トスカニーニ/プッチーニ:歌劇「ボエーム」全曲 対訳リブレットより〜

ああ、麗しの乙女〜O soave fanciulla〜 ミミ、ロドルフォの二重唱

ロドルフォ
おお、うるわしい乙女よ、輝きはじめた月の光に、
穏やかに包まれたやさしい面影、
あなたの中に、私がいつも夢見ている夢がある
それが本当にわかった!

ミミ
(ああ、愛よ、あなただけが命令しているのよ!・・・)

ロドルフォ
もう心の底では、この上ない
甘美さがおののいている・・・
接吻の中に、愛がおののいているのだ!

ミミ
(ああ、なんて甘美に、そのやさしいことばが
私の心を感動させるのでしょう・・・
愛よ、あなただけが命令しているのよ!)

だめ、お願いですわ!

ロドルフォ
あなたは僕のものだ!

ミミ
お仲間があなたを待っているわ・・・

ロドルフォ
もう僕を追い払うの?

ミミ
言ってもいいかしら・・・でもやめておいた方が・

ロドルフォ
言ってみて。

ミミ
もしあなたと、ご一緒に行くとしたら?

ロドルフォ
なんだって?ミミ!
ここにいればこんなに愉快だろうに。
外は寒いよ。

ミミ
あなたのそばにいるの!

ロドルフォ
で、帰ったときは?

ミミ
聞きたがりやさんね!

ロドルフォ
腕をよこしなさい、僕のかわいこちゃん・・・

ミミ
かしこまりました、ご主人様!

ロドルフォ
僕を好きだといってごらん・・・

ミミ
あなたが好きよ。

ロドルフォ、ミミ
愛よ、愛よ、愛よ

参考:ビクター株式会社 トスカニーニ/プッチーニ:歌劇「ボエーム」全曲 対訳リブレットより〜

私が街を歩くときには〜Quando me'n vo soletta〜 ムゼッタ

私が一人で
通りを歩いているときは、
人々は立ち止まって私を見つめるの、
そして私の美しさに見とれて
私を見回すのよ、
頭のてっぺんから足の爪先まで・・・

そして、私は微妙な熱望を味わうのよ
人々の目から発散し、私のすぐわかる魅力から
中に隠れた美しさまでも見通そうとする
あの熱望を。
こうして、欲望の破産が私の回りを
すっかり取り巻いて
私を美しく、私を楽しくさせてくれるのよ。

参考:ビクター株式会社 トスカニーニ/プッチーニ:歌劇「ボエーム」全曲 対訳リブレットより〜

あなたの愛の呼ぶ声に〜D'onde lieta usci al tuo grido〜 ミミ ロドルフォ

ミミ
あなたの愛の呼ぶ声に、そこから
喜んででてきたあの寂しい巣に
ミミはひとりで帰ります。
もう一度、見てくれだけの
花を作りにもどるのよ。
さようなら、恨みっこなしにね
聞いて、聞いてちょうだい。
私が散らかしたままにしてきた
少しばかりのものを、まとめていただきたいの。
私の引き出しの中に
金の腕輪とお祈りの本がしまってあります。
あるもの全部、エプロンに包んでおいてね
誰かに取りにいってもらいますから・・・
そうそう大事なことが、
枕の下にバラ色のボンネットがあります。
もしよかったら・・・愛の記念にとっておいて下さい。
さようなら、恨みっこなしにね。

ロドルフォ
それでは、本当におしまいなんだな。
君はこれで行ってしまうんだね、僕のかわいい人は?
さようなら、愛の夢よ!

ミミ
楽しい朝の目覚めも、さようなら。

ロドルフォ
さようなら、夢の様な生活も!

ミミ
さようなら、せっかんや、やきもちも・・・

ロドルフォ
・・・それを君のほほえみが消してくれた。

ミミ
疑いも、さようなら・・・

ロドルフォ
接吻も。

ミミ
・・・つらい苦しい思いも・・・

ロドルフォ
・・・それを僕は、本当の詩人らしく
愛撫で韻をふんであげたのだ。

ロドルフォ、ミミ
冬のひとりぼっちは、死ぬようなこと。

ミミ
ひとりぼっち・・・

ロドルフォ、ミミ
それが春には
お日様と仲間になるのだけど。

ミミ
お日様と仲間になるのだけど。


参考:ビクター株式会社 トスカニーニ/プッチーニ:歌劇「ボエーム」全曲 対訳リブレットより〜

年老いた外套よ、聞いておくれ〜Vecchia zimarra,senti,〜 コリーネ

年老いた外套よ、きいておくれ、
俺は地上にとどまるが、おまえは今
神聖な山に登らなければならない。
俺の感謝の心をうけれくれ。
お前は今までにそのすり減った背中を
金や力に対して屈したことはなかった。
お前のポケットの中を
ちょうど静かな洞窟を通るように
哲学者や詩人たちが通ったのだ。
今や楽しかった日々は過ぎ去り
お前に別れを告げる時が来たのだ。
忠実なる俺の友人よ、さらば。

参考:ビクター株式会社 トスカニーニ/プッチーニ:歌劇「ボエーム」全曲 対訳リブレットより〜

みんな出かけてしまったの?〜Sono andati?〜 ミミ ロドルフォ

ミミ
みんな出かけてしまったの?私は眠ったふりをしていたのよ
なぜって、あなたと二人だけになりたかったから。
あなたにお話したいことが沢山あるわ。
それともたった一つだけれど、海みたいに大きいこと、
海みたいに深くて、限りないこと・・・
あなたは私の愛で、わたしのすべてよ。

ロドルフォ
ああミミ、僕の美しいミミ!

ミミ
私はまだ美しいかしら?

ロドルフォ
日の出のように美しいさ。

ミミ
あなたは比べるものが違っているわ。
こう言うべきなのよ、
夕焼けのように美しいって
「みんな私をミミと呼びます
なぜだか知りませんけど。」

ロドルフォ
つばめが巣に戻って
さえずっているんだ。

ミミ
私のボンネット!
私のボンネットだわ!
ああ!あなたは覚えていて
私がここに初めて入ってきたときのことを?

ロドルフォ
もちろん覚えているさ!

ミミ
あかりが消えてしまったわ。

ロドルフォ
君はうんと困っていたんだ。
そして、鍵をなくした・・・

ミミ
そしてあなたは手探りで探し始めたわ!

ロドルフォ
探して、探してた・・・

ミミ
私のかわいい人
今だからあなたに言うけど
とても早くそれをみつけたわね。

ロドルフォ
僕は運命を手伝ってやったんだ。

ミミ
暗かったわ、私が赤くなったのが
誰にも見えなかった。
「なんて冷たい小さな手
私に暖めさせて下さい・・・」
暗かったわ。そしてあなたは
私の手を取ったの・・・

参考:ビクター株式会社 トスカニーニ/プッチーニ:歌劇「ボエーム」全曲 対訳リブレットより〜
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