あなたの愛の呼ぶ声に、そこから
喜んででてきたあの寂しい巣に
ミミはひとりで帰ります。
もう一度、見てくれだけの
花を作りにもどるのよ。
さようなら、恨みっこなしにね
聞いて、聞いてちょうだい。
私が散らかしたままにしてきた
少しばかりのものを、まとめていただきたいの。
私の引き出しの中に
金の腕輪とお祈りの本がしまってあります。
あるもの全部、エプロンに包んでおいてね
誰かに取りにいってもらいますから・・・
そうそう大事なことが、
枕の下にバラ色のボンネットがあります。
もしよかったら・・・愛の記念にとっておいて下さい。
さようなら、恨みっこなしにね。
ロドルフォ
それでは、本当におしまいなんだな。
君はこれで行ってしまうんだね、僕のかわいい人は?
さようなら、愛の夢よ!
ミミ
楽しい朝の目覚めも、さようなら。
ロドルフォ
さようなら、夢の様な生活も!
ミミ
さようなら、せっかんや、やきもちも・・・
ロドルフォ
・・・それを君のほほえみが消してくれた。
ミミ
疑いも、さようなら・・・
ロドルフォ
接吻も。
ミミ
・・・つらい苦しい思いも・・・
ロドルフォ
・・・それを僕は、本当の詩人らしく
愛撫で韻をふんであげたのだ。
ロドルフォ、ミミ
冬のひとりぼっちは、死ぬようなこと。
ミミ
ひとりぼっち・・・
ロドルフォ、ミミ
それが春には
お日様と仲間になるのだけど。
ミミ
お日様と仲間になるのだけど。
参考:ビクター株式会社 トスカニーニ/プッチーニ:歌劇「ボエーム」全曲 対訳リブレットより〜